Art story 2

 

岩澤有徑が経験した美術にまつわる面白エピソード 2.

現代美術コレクター利岡誠夫氏の話

 

アメリカの映画で「ハーブ&ドロシー」というのをご存知でしょか?

郵便局員だった夫と図書館司書の妻の二人が3室しかないアパートに入りきらないくらい、作品をコレクションした末にワシントンDCの美術館に相談する物語です。日本でも現役のサラリーマンやご隠居のおじさまが、現代美術の個展やホテルのアートフェアを回廊され、数万円〜数十万円の作品をご購入される方々がおられます。画廊主からコレクターと呼ばれることに喜びを感じておられ、私の個展にも稀に来られることがあります。

 

 

倉重光則、kurashige,mitsunori

 

Mitsunori Kurashige "Indefinite Square" 620x470 plastic plate.paper 2000

Oita Prefectural Art Museum

 


 

 

 

利岡誠夫、toshioka

 

コレクション展が京都造形芸術大学で行われた際の利岡誠夫氏(2006年)

 

 

 

日本の現代美術業界にも自宅に飾れるサイズの作品を収集される方がおられる中で、特に有名なおじさまが関西にお住まいです。いつもゆっくり歩きながら笑顔でホテルのアートフェアに現れる利岡誠夫さん。参天製薬という目薬で有名な会社の研究者で現役の時はもちろん退職後も精力的に国内外の現代美術作品をコレクションされておられます。2012年暮に、神奈川県在住の倉重光則氏より「京都のことだから岩澤ちょっ行ってきてくれないか!」とお使いを頼まれました。長岡京のマンションにお尋ねすると部屋中にダンボールの山がいっぱい、「たくさん集めたけどもう年なので、全て作家に返却することにしたのです。」とお力落としのご様子、そのお言葉に従い倉重氏の作品を車に積んで帰るところでした。「私は、現在大分県に美術館を建設されている知事様と時々お会いしております。もし、利岡様にご寄贈のお考えがございましたらいつでもご一報ください。」と名刺をお渡しして帰宅しました。すると次の日に早速「ぜひお願いします」というメールをいただき、翌日再度、マンションにお邪魔しました。

 

利岡誠夫

コレクションについて語る利岡氏と私 (2012年)

 

一体どんなものがあるのか、見せていただくことにしたのですが、出てくるのは、私の手が震えるほどすごい作家の作品ばかりで、驚きの連続でした。「とりあえず、急いで私の実家に運び、写真を撮ってリストを制作しましょう。」と言って私のステーションワゴンで 5 回運び、さらに大きなものと書籍は、ヤマト便のトラックで運んでもらいました。約 1ヶ月かかって慎重にリストを制作し、大分県の広瀬勝貞知事さまに見ていただき返事を待ちました。大分県議会は、このころようやく新設される大分県立美術館の初代館長に、新見隆氏を選出されたところでその後、知事さまとゆっくりご相談されたのだと思います。2013年 7月31日に大分県からヤマト便のトラックとともに県職員が取りに来られ、422点の作品と関連書籍の段ボール30箱は、無事に大分県立美術館準備室に運ばれました。

 

422点の現代美術コレクションとカタログ30箱は、大きなトラック満載でした、

 

開館前の 2014年夏に一度大分市内の複数箇所で利岡さんのコレクションを初お披露目する展覧会「まちなかアートフルロードプロジェクト」が行われ、新聞に取り上げられ大きな話題となりました。翌 2015年 4月に大分県立美術館は、盛大に開館式典が行われました。その日は、観客が美術関係の本を閲覧できるライブラリーに、コレクションを展示して、利岡コレクションを紹介するコーナーができました。

そして開館後の 2016年春、真新しい県立美術館において企画展「身も心も!現代アートに恋い焦がれてー利岡コレクション+大分アジア彫刻展」として大々的に紹介されました。その内容を写真でご紹介したいのですが、美術館の収蔵作品なので画像は、難しいのでお名前だけご紹介させていただきます。キャンバス、立体、陶芸、ドローイング、写真、版画などその内容は、様々ですが、今回大分県立美術館所蔵となった作家は、国内外の驚きの面々でした。

 

 

 

 

岩澤有徑、iwasawa arimichi

大分合同新聞/2014年8月14日(朝刊)に初めて

驚きの作品をご寄贈されたことが発表されました。

 

 

岩澤有徑、iwasawa arimichi

大分合同新聞/2014年8月28日(夕刊)に再び

利岡さんのお話が、紹介されました。

 

 

倉重光則

 

Mitsunori Kurashige "Indefinite Square" 830x830x56 neon iron 1997

Oita Prefectural Art Museum

 

 

 

 

 

 

THE TOSHIOKA COLLECTION

Oita Prefectural Art Museum

 

 

あ行/青木野枝、青木陵子、赤松玉女、秋岡美帆、浅野弥衛、渥美詩子、安部典子、GIANFRANCO D’ALONZO、AIRAN KANG(愛蘭)、有馬かおる、Pierre Alechinsky、安斉重男、安星金、五十嵐彰雄、生形貴春、池垣タダヒコ、池田敬子、生田丹代子、池田真規子、イケムラレイコ、生野敦子、居城純子、石原友明、泉 茂、井田照一、井手日出志、伊藤誠、稲葉貴志、犬飼真木子、井上あかり、井上まさじ、伊庭靖子、今村輝久、岩城直美、岩澤有徑、碓井ゆい、内田晴之、ウムラウト、瓜生祐子、江口康隆、olafur eliasson、遠藤利克、大久保英治、O Jun、大谷有花、大竹竜太、太田三郎、大野浩志、岡上淑子、岡崎和郎、岡崎乾二郎、岡普司、小川健一、小川信治、小川百合、小河朋司、奥田義己、押江千衣子、小野浩一、オノサトトシノブ、オノデラユキ、小野寺聡


か行/U-titus Carmel、笠原由美子、樫木知子、片淵綾香、片山雅之、ILYA KABAKOV、Guglielmo Achille Cavellini、鎌田 仁、唐木 満、Akio 川井、川上真緒、河口龍夫、川端嘉人、菅野由美子、菊畑茂久馬、岸本亜希子、北尾博史、北辻良央、北野 謙、北野吉彦、北山義夫、金丘林、日下部一司、Imi Knebel、Jannis Kounellis、久保田昌孝、熊谷 誠、倉重光則、倉智久美子、A.D.Christian、CHRISTO、KAREN KILIMNIK、栗本夏樹、桑原正彦、桑山忠明、合田佐和子、児嶋サコ、児玉靖枝、小山穂太郎、近藤正勝

 

さ行/坂井淑恵、佐々木愛、佐々木憲介、佐佐木誠、笹岡 敬、佐藤 玲、Angelo Savelo、椎原 保、FRANCES SCHOLZ、設楽知昭、篠原有司男、篠原猛史、Cindy Sherman、Ben Shahn、Albert Giacometti、Donald Judd、庄司 達、Alan Johnston、スージー甘金、全寿千、菅井汲、菅木志雄、杉戸 洋、杉山健司、杉山知子、Cornelia Schleim、Thmas Skomski、鈴木隆、鈴木たかし、Hans.Steinbrenner、須田真弘、鷲見 麿、鷲見和紀郎、関口惇仁、曽我孝司、孫 雅由


た行/タカノ綾、高橋信行、高橋将貴、高原洋一、高松次郎、辰野登恵子、田中朝子、田中奈津子、田中美和、太郎千恵蔵、多和田有希、崔石鎬(choi saku ho)、土谷 武、Theo、DUBUFFET、寺田就子、Mark Tobey、Cy Townbly


な行/内藤 礼、長岡国人、長尾浩幸、中川トラヲ、中川佳宣、中西章之、中西夏之、中山ダイスケ、奈良美智、名和晃平、西川勝人、西園 淳、西 雅秋、西村正幸、西村陽平、野田裕司、野村 仁

 

は行/Damien Hirst、蓜島伸彦、橋本夏夫、長谷川利行、Simon Patterson、英 ゆう、羽部ちひろ、浜田 浄、浜本窪司、FULTON Hamish、林 良一、Giulio Paolini、Stephan Balkenhol、M._Barros、Daniel Buren、ひらいゆう、平松伸之、廣江友和、Holly Farrell、J.Fautrier、MEL BOCHNER、古井智、福井 篤、福岡道雄、藤井俊治、藤本由紀夫、Katarina Fritsch、Alberto Burri、Elizabeth Peyton 、Joseph Beuys、法貴信也、堀尾昭子、堀尾貞治

 

ま行/AGNES MARTIN、MASAKO、正延正俊、松井紫朗、松井智惠、松島由香利、松谷武判、丸山直文、三浦 務、三川義久、三島喜美代、水野 朝、南 新也、三村逸子、宮崎豊治、宮島達夫、棟方志功、村岡三郎、村上 明、村上義男、村瀬恭子、YUKO MURATA、森口ゆたか、森末由美子、森村泰昌

 

や行/安喜万佐子、YUKO YAMASHITA、山田正亮、山本桂輔、山本恵、横溝秀美、吉村大地、四谷シモン

 

ら行/わ行/KALLE LAMPELA、料所可芳子、若林 奮、渡辺英司、渡辺紅月、渡辺紗知子、渡辺聡

 

岩澤有徑、iwasawa arimichi

 

大分合同新聞/2014年09月05日(夕刊)

展覧会が開幕されたことが紹介されました。

 

 

岩澤有徑、iwasawa arimichi

 

大分合同新聞/2014年09月11日(夕刊)

利岡誠夫コレクションの経緯を紹介されました。

 

 

岩澤有徑、iwasawa arimichi

 

ARIMICHI IWASAWA "No.010612" 920x920x80 L.E.D. acrylic acid resin 2012

Oita Prefectural Art Museum

 

 

 

大分県立美術館で2016年盛大なコレクション展「身も心も!現代アートに恋い焦がれてー利岡コレクション+大分アジア彫刻展」が開催されました。 会場写真

 

利岡誠夫

大分県立美術館のライブラリー室には、利岡誠夫氏ご寄贈された作品と本をを紹介する特設コーナーが常設されています。

 

私は、2014年の夏、利岡さんのコレクション展の会場で使用する映像を制作させていただくために、二度インタビューさせていただきました。私には、なぜ現代美術の作品を収集することに至ったのか、興味がありました。利岡さんは、「 骨董品なら本物か、偽物か、新たな疑問符が生じることがある。それに日本画や印象派の絵画を収集するのは、サラリーマンには、無理がある。作家本人が在廊している個展でお話をしてから作品を選ぶのは、間違いなく本物である。そして我々でも手がとどく価格帯であることが重要。」と80代とは思えないほど矍鑠としたお話でした。再度大分県立美術館の新見隆館長と訪れた際にも、80年代、90年代の画廊や作家の話がと切れる事なく続き、その記憶力に感嘆してしまいました。こう言う輪を広げるために関西のコレクタークラブの会長でおられた利岡誠夫氏の功績は、素晴らしいと思います。コレクターの心いきが次世代に繋がるように作家として祈りたい思いです。私は、撮影をしてリストを作らせていただく過程で個々の作家がどんな思いで制作しているのか美術館では、見ることのできない裏側を観察することができました。ヨセフ・ボイスやダミアン・ハーストの作品を撮影する際は、緊張で手が震えました。またドナルド・ジャッドや、サイ・トンブリなど平面でありながら不思議な額縁に入っているものなど、自分のものではないのに撮影する過程が楽しかったです。アグネス・マーティンとオノデラユキの本をコレクションに加えておられたのですが、作品付きの限定本という装丁も時間が経過すると美術館に置かれる作品なのだと感心しました。そしてイリヤ・カバコフや寺田就子などは、箱を丁寧に制作されていて納品という完成度が高い作家がいるという事にも驚きました。ハーブ&ドロシーという映画は、お二人は、トラック5台の作品をワシントンDCに寄贈し、広くなったアパートでさらにコレクションを集めながら過ごす話ですが、利岡さんは、現在本当に大切な作品数点と共に網膜が一致しないとドアが開かない最新鋭の高層マンションで奥様と過ごしておられます。ものを作る人間としてこのような経験をさせていただいた事に感謝いたしております。いつの日か、これら422点を一同に拝見できる展覧会にぜひ訪れてみたいものです。

岩澤有徑拝

 

利岡誠夫氏は、2010年3月に開催された「マイ・フェイバリットーとある美術の検索目録/所蔵作品から」(主催:京都国立近代美術館)にも作品をご出品されました。その際も赤瀬川原平、ヨセフ・ボイス、森村泰昌、村岡三郎、他のコレクションを京都国立近代美術館にも多数ご寄贈されました。

 

岩澤有徑が経験した美術にまつわる面白エピソード 1. 鑑定団出演の話

岩澤有徑が経験した美術にまつわる面白エピソード3. Gallery Gen History for Iwasawa

岩澤有徑が経験した美術にまつわる面白エピソード4. 妻が出席したハンガリーの結婚式とは、

岩澤有徑が経験した美術にまつわる面白エピソード5. 韓国との交流10年目、So into S.Korea