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MOVING 2

oil, acrylic on canvas

175x110cm.

1991

大分市美術館蔵

 

MOVING 1からすぐの翌年、2作目として制作したのがこの作品です。こういう仕事は書き直しができないので書道のような気持ちで一気に書き上げないといけないものです。あらかじめ完成を想定して下地にアクリル絵の具で背景を制作しておいて十分乾燥した状態で、数日後油絵の具で赤い部分を描いています。図と地の関係性は、同等にと考えていましたが、勢い余って図の方がやや優勢になってしまいました。その後、ベルギーの美術館館長ヤン・フート氏が一人で作家と会話しながら審査するコンペティションがあったので出品したところ「いろんな作品を見てきたが、今までこんな絵を見たことがない」と言って何も聞かずに一発合格!初めて自分の作品をそんな風に評価してもらえて驚きました。作品は、夕刻、東京から石川県鶴来市に向かい、私も翌々日、羽田から小松空港に向かいました。同じ飛行機で移動していたヤン・フート氏とも何度も話す機会が生まれ、テレビ番組やニュースの取材もあり素晴らしい経験をさせていただきました。帰りは金沢から京都に向かったのですが、電車中は、当時水戸芸術会館におられた長谷川裕子氏と業界話をお聞きしながらの帰洛となりました。この作品は、その後、福岡に巡回し翌年ギャラリー現で個展をすることになりましたので改めて出品。この時は、初めて美術手帖の展評に神奈川県立近代美術館の橋秀文氏に書いていただき、あらゆる意味でものすごく濃い経験の詰められた自身の記念碑的な作品となりました。(この鶴来町の展覧会には、当時まだ無名だった村上隆氏や、のちにギャラリー現の作家として交流するようになる鈴木貴博氏も選ばれて出品していました。)

 

出品歴

1991 ■ 鶴来現代芸術祭/ヤンフートの一日大学(鶴来・石川県)

1991 ■ ヤンフートの眼(アルティウム・福岡)

1992 ■ ギャラリー現(東京)

▶ 会場風景  美術手帖1992年4月号展評

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