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MOVING 1
oil, acrylic on canvas
170x125cm.
1990
Bゼミという横浜の井土ヶ谷にある不思議な現代美術の学校を終了しこれから一体どうやって作家活動を続けて行こうか、思案の日々を過ごしていました。そんな中、娘がまもなく誕生するという日がきました。私は作家として何かを生み出さねばならない決意を持ってキャンバスに向かうといういかにも1980年代90年代のニューペインティングエージの作家のように。どうにか波に乗ることを夢見て油絵でないと作家らしくない、などと意識を高めて懸命に描いていた作品です。日々、図と地の関係が議論の中心となっていた評論文を読んでどちらも同じ強さを持って図と地が戦いあう作品を作るのはどうか、などと思案していたのでした。この時代、私は、動物の動きに興味があり毎週動物園に通ってスケッチを続けていました。ここに描かれているのは、その脳裏に記録されてきた残像がスキャンされるように動く形となり手の中から偶然生まれてきた有機形なのです。ところがこの記念碑的な作品は、一度も発表した記憶がありません。1990年12月15日完成