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岩澤有徑が経験した美術にまつわるおもしろエピソード4

- 妻が出席したハンガリーの結婚式 -

 

 

2005年のある日、京都の都ホテルの前にあるギャラリーすずきにふらりと立ち寄ったところ、なにやらヨーロッパ人らしきカップルと代表の鈴木淑子さんが、うまくコミュニケーションが取れずに困っておられるところに遭遇しました。私が、お聞きするとハンガリーから鉄の作品を持ってきたアーティスト、エリゼベートさんとボーイフレンドで作曲家のバンクさんでした。トントン拍子に話が進み、エリゼベートさんの個展を開催することが決まりました。作品の写真もないというので、私の自宅に案内してDMの写真を撮影し、無事に2005年10月18日にシズリー・エリゼベート展が開催されたのでした。 彼らの滞在中に日本とハンガリーの交流展を両国で開催する話が進み、ハンガリーの美術館の館長様を訪れる日々が始まりました。その後、お二人が2006年に結婚されることとなりました。私は、どうしても他の展覧会と時期が重なり、思案の末に美術館との打ち合わせを兼ねて私の妻に結婚式に参加してもらうことにしました。妻は、帰りの飛行機内でエッセイ募集の広告を見つけ、早速応募したところなんと一番いい賞をいただくことになったのです。 そこには、普通の観光旅行とは、ちょっと違う数々の不思議なエピソードが、ありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第 4 回ハンガリー旅の思い出2007年コンテストA賞

岩澤真理さんの作品

=結婚式と家庭料理の中で味わったハンガリー人の素朴な暖かさ=

日本で知り合ったハンガリー人のバンクとエリザベート。8ヶ月後、彼らの結婚式の招待状が届き、始めて私がハンガリーを訪れたのは昨年の8月でした。作曲家のバンクと彫刻家のエリザベート、2人はどんな式をしたのでしょうか!! 日本人の私にとってそれはオペラ、そのものでした。驚いた事に、これからお話しする花婿が花嫁を迎 える場面を私は夜中のTV番組の中で昔のオペラとして見た内容、そっくりだったからです。 新郎バンクの家はブダペストの中心から車で30~40分離れた緑豊かな郊外にあるマチコバチという町でした。新婦エリザベートは彼の家から歩いて10分程。だから幼なじみかとゆうわけもなく偶然に数年前、イタリア、ローマで始めて逢いました。ブダペストでは8月20日は国を挙げて盛大な祭り、建国記念日があります。その日は日本のお盆のように子供たちは帰郷し、家族で過ごそうと各地から集まります。バンク、エリザベートもローマのそれぞれの地からブダペストへ向かいました。車を運転するバンクをヒッチハイクしたのはエリザベート。2人が同じ街の出身だと知ったのはバンクの車の中でした。――というわけで結婚式は建国記念日前日、2人が知り逢った記念日8月19日なのです。

結婚式はその日の午後3時からなのに朝10時にバンクはラフなパンツ姿で迎えに来ました。家で迎えてくれたのは水着姿のバンクのママ。汗だくの彼女は水着を着て朝から幾皿もの手料理を作っていたのです。小高い丘の上にあるバンクの家の下に広がるガーデンで手作りスウィートとレモンとミントたっぷり入ったハーブティーで軽く御挨拶。柔和な笑顔のバンクのパパ、いえお父様はやはり作曲家。やがて三三五五親戚、友人が集まり出すと別のテーブルにはママ自慢の料理が並びビッグランチが始まりました。さあ真理、今日一日長いからたくさん食べておくんだよ!!とお父様からの一声 。何種類ものチーズ、フォアグラのテリーヌ、鶏の丸焼き、牛肉とパプリカの独特な味の煮込み等々、どれもが覚えて帰りたい 料理ばかりでした。

コーヒータイムが終える頃、黒い山高帽をかぶった男性が、カラフルなリボンを付けた棒を持って表れました。どうやら今日の進行役のようです。唐突に彼の甲高いがして、いよいよ今日の結婚式の開幕です。みんなの前で新郎から父母弟へ感謝の言葉の後、山高帽の男性を先頭にゾロゾロと新婦の家へ歩き出します。その行列の最後 はトランペットやクラリネットが響き、まるでブレーメンの音楽隊です。少し坂を下りると別の登り道、その上にエリザベートの家があります。そこにも朝から友人親戚が集まっていました。かつてTVで見たオペラの始まりはこれから――。山高帽の彼が大きなのあいさつの次はバンクが、エリザベートの家の2階のバルコニーに向かってを張り上げます。エリザベート迎えに来たよ! 僕と結婚して下さい!!でもエリザベートはなかなか表れません。妹が出窓から顔を出したり、ドアが開いたと思うと女装の従兄弟だったり。挙句の果てに花嫁姿のおばあさんまで出てきて大笑い! 何て楽しい結婚式でしょう。後ろでは音楽隊が楽器を鳴らしっぱなし・・・大笑いの渦中ようやくエリザベート登場です。歓が上がり拍手喝采。涙のエリザベートから父母妹への感謝の言葉が終わると両家をつれ音楽 隊の行進は教会へと向かいます。

 

 

 

 

 

その教会もハンガリーの街々で見た物と同じように外観は質素なのにドアを開けると予想つかない程の豪華さで金をふんだんにあしらい、色彩やかな花や壁紙の装飾でした。その中でバンクとエリザベートが愛を誓います。この日エリザベートがブダペスト一の美しい女性だったのは言うまでもありません。教会の庭ではパーティーの準備がなされていました。やはりバンクの お父様はこの地の名士という事で市長さんやリスト音楽院の教授等、各界の人物が集り、品の良いワ イン主体のパーティーが夕方6時まで続きました。そして私達は次のパーティー会場である森の中の古城跡地に建つホテルのガーデンへ。ここに残ったのは親族と友人達社交ダンスやディスコダンス。音楽隊とは違うポップな生バンド。夜が深けるまで続きます。終わり真際、新婦手づくりの三段重ねのケーキが表れ、そこでキャンドルサービスがロマンチックなフィナーレと真夜中を飾るのでした。ちなみにケーキの味は私の好きなアーモンドバターケーキをベースに生クリームで包んだもので、とてもおいしかったです。画像1枚に長めの説明を記入するデザインを想定したパーツです。スクリーンサイズ1000px未満のデバイスでは、画像の下に見出しと説明が表示されます。

パーティーで印象的だったのは10代の若者との会話でした。何になりたいのといった質問に勢いのあると 輝いた目で答えてくれた事でした。又折り紙を出して、教えてと集まり、教えると女の子ばかりか男の子も熱心に真剣な眼差しで折り始めます。その集中力は驚きで、この国の若者の伸びやかな将来を感じ。疲れた今の日本の若者と比較してしまいました。 こうして長い一日終わり、疲れを癒す為サッカースタジアムのような広さのセーチェーニ温泉に行ったのも楽しい思い出です。ハネムーンにも行かず日本から来た私達を連日実家や友人の家でのパーティーに連れていってくれたおかげで数々のハンガリー料理を味わった事も貴重な経験でした。建国記念日の夜、妹のアパートのテラスで見たドナウ川の花火を見ながらのバーベキュー。音楽教師の友人の家では御主人がヴィヤーシュを庭で作ってくれました。シチューのようなヴィヤーシュはパプリカと七面鳥や牛肉等、何種類の肉を使った煮込み料理で、戦いの歴史の中野外で鉄ナベでつくる男の手料理の一つとして生まれたそうで す。エリザベートのママが作るサワークリームとパプリカのルーはパスタと食べました。デザートのクレープもハンガリーの名品。最後に行ったエリザベートのおばあちゃんの別荘があるバラトン湖で採れたコイのスープも絶品でした。おじいさんがやはり鉄ナベで作ってくれました。又手造りのドーナツと一緒に食べた、庭のアプリコットでつくられたジャムの味も忘れられません。どの家庭もワインが出され、特にバラトン湖の家の庭にはワインセラーである小山があちこちに見られました。楽しい結婚式とワインと共に味わったハンガリー家庭料理が私のハンガリーの旅でした。どの家庭でも私を迎えてくれる人々の心のやさしさに触れることが出来、昔の日本人のような律儀な丁寧さで心の奥深さを感じる思いがして、始めて訪れたハンガリーは私の郷のようでもありました。だから私は家に帰るように再び訪れるでしょう。

ありがとうハンガリー

我が心の郷愁の国ハンガリー、遙か麗しき街ブタペスト ひっそりと東洋の旅人が行きますから待って いてください。

岩澤真理/MARI IWASAWA

 

 

 

4つの展覧会を経験しました/I experienced four exhibitions.

 

2008 AD LACUM FELICIS -Town of glad lake (The Kuny Domokos Museum/Tata Hungary)

 

鈴木淑子氏の挨拶文/Mrs. Yoshiko Suzuki's greeting(日本語/English)

美術館の挨拶文/Museum's greeting(日本語/English)

作家の紹介(日本語)

about exhibition's artist(English)

 

財団法人 ポーラ美術振興財団

野村国際文化財団

朝日新聞文化財団

後援:京都市

会場風景 installation view

 

 

 

 

2010 ハンガリー・日本交流展“WATER”(ギャラリー北野坂/神戸〜京都芸術センター〜パルアート/京都)

 

ハンガリー大使と鈴木淑子氏の挨拶文 A Magyar Koztarsasag Tokioi Nagykovetsegenek rendkivuli es megbizott nagykovete Bohar Erno & Mrs Suzuki Yoshiko(日本語/English)

 

河﨑晃一氏と太田垣實氏の文章 Koichi Kawasaki Curator, Hyogo Prefecture Museum of Art & Masato Otagaki, Art critic/Professor, Osaka Seikei Unversity Faculty of Art and Design(日本語/English)

 

Eniko P.Toth's article (English)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

社団法人 メセナ協議会

財団法人 朝日新聞文化財団

後援:ハンガリー共和国大使館 日本ハンガリー友好協会

 

会場風景 installation view

 

作家の紹介/河﨑晃一氏の文章/太田垣實氏の文章

2011 MIZU VIZ/WATER (The collection of local history of ferencvaros 〜 A38 Gallery/Budapest Hungary)

 

 

 

 

See B side See B side

 

会場風景 installation view

2012  ハンガリー・日本現代美術展 2012(ギャラリー北野坂/神戸)

 

 

The Kuny Domokos Museum/Tata Hungary

 

 

Szilágyi Erzsébet & Mrs.Suzuki 2007

 

 

The Occasion by Laszlo and Bank Sary at The Kuny Domokos Museum 2008

 

 

 

 

 

私は、2000年に「 画廊の視点 」(大阪府立現代美術センター)という展覧会に、

大阪のシティーギャラリーから選抜され出品する機会を得ました。

初日の夕刻、オープニングパーティーでギャラリーすずきの鈴木淑子さんに初めてお会いしました。

「 岩澤さんという人はどんな人なのか探していました。

京都で個展をしたことがないのなら、これから私のところでしてください。」

と光栄なお話をいただきました。

それ以来、滋賀県や大阪の画廊や美術館へお出かけの際や、

エリゼベートさんとバンクさんが来日されるときは、

よく車で送迎をする機会が訪れ

ハンガリーの美術館に打ち合わせにゆく際も、

東京へ助成金をいただきにゆく際もご一緒させていただくことができました。

 

2012年、私の奈義町現代美術館での個展の開幕を待っていてくださったかのように

オープニングの翌日、京都で永眠されました。

ハンガリー展に参加した両国の作家と共に鈴木淑子さんには、

素晴らしい経験をさせていただくことができましたことを心から感謝いたしております。

 

岩澤有徑/ARIMICHI IWASAWA

 

 

 

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